6日目


   

「まだ暗いのか」。

ベッドからおりてカーテンを開けると、外はまだ薄暗かった。
パソコンの電源を入れてからトイレに行き、コーヒーを淹れる。
少し濃い目になるように粉を多めにいれた。
水はミネラルウオーターを使う。
以前よりホテルの水がおいしくなくなった気がするからだ。
コーヒーを淹れるのなら、水の味なんてわからないかもしれない。
これは気分の問題である。
もし、ミネラルウオーターの在庫がなくなってきたら、水道の水を使おう。(こだわりないんかい!笑)

このコーヒーメーカーの音は少々大きめである。
「ゴボゴボ」と、日本で使っているモノより3倍くらい大きな音がする。
コーヒーメーカは洗面所に設置されているが、窓際にある机でパソコンで作業をしていてもその音が聞こえる。
音がしなくなったらコーヒーの出来上がりだ。
そういう面では便利なんだけれど。

コーヒーカップになみなみと注いで、ゆっくりと歩いて机まで持ってくる。
こぼしてもパソコンにかからないような位置に置く。

メールを送り、インターネットでニュースを見出しだけ見てパソコンの電源を切った。


「さて、海に行こう」。

レンタカーのキー、ビーチタオル、コンタクトレンズ、20ドル札1枚、クレジットカード、ルームカードのアイテムを入れた防水ケースをダイソーのビニール袋に入れて部屋から出た。

まだ朝が早いので、ロビーには人が少ない。

クルマに乗り荷物を助手席に置いた。
エンジンをかける。
KINEのラジオが雑音の中から聞こえてくる。
駐車場の電波状況が悪いようだ。

クルマを走らせてホテルから出た。
パーキングチケットをボックスに入れるために窓を開けたままにして外の空気を入れる。
そして、大きく息を吸う。

ハワイの空気だ。

アラモアナビーチパークの入り口の信号で止まる。
ジョギングしている人や散歩している人が見える。
もしかして本日帰国するWATさんの乗ったタクシーがいるかもしれないので、停車中のタクシーの乗客を見てみた。
いるわけないか。

信号が変わり、僕はゆっくりとアクセルを踏んだ。

公園のパーキングスペースはたくさん空いている。
それでも僕がいつも停める場所であるテニスコートの前は、かなり多くのクルマが止まっていた。
テニスをする人とサーフィンをする人のクルマの両方が駐車するからだろう。

僕は空いているところにクルマを入れた。
ちょっと曲がっているけど、ま、いいか。

クルマのキーの電子部分をキャビネットに入れて、ドアだけあけることができる金属のキーを防水ケースに入っていることを確認した。
防水ケースを水着の中に入れて、防水ケースの紐が水着の内側のタグにきちんと通っているかを確かめた。
水着のポケットにファスナーがありケースが外に出ることはないと思うが、念のため流されないようにループ状に縫いつけられているタグに通すのだ。

トランクをあけてボディーボードをフィンを出し、周りをぐるっと見わたす。
特に意味はない。
ただ、なんとなく。

「さて、海に入ろう」。

砂浜にボードとフィンを置き、軽くストレッチをした。

まだ太陽が出きっていないので、海の色は暗い感じだ。

左腕にリーシュコードを付けて海に入る。
ちょっと冷たい。
左足にフィンを付けて、その次に右足につける。
普段の靴も左足から履く。
ジンクスとかそういうのではないけれど、いつも左足からである。


満潮とまではいかないけれど、そこそこ潮位が高いのでリーフを気にしないでキックをしていた。

すると、「ガツ」という衝撃と痛みが走った。
右足がリーフにぶつかったのだ。

「ん?切れたか!」と思うくらいの衝撃だった。
しかし、すぐに痛みが引いたので、気にせずに沖に出る。

油断禁物である。
満潮に近くても水面近くにリーフが潜んでいるのだ。
その後は、慎重にキックをした。

波は悪くない。
遠くには大きな波が崩れているのが見える。

もちろん、いまからそのポイントまで行ってもその波には間に合わない。
大きな波が来ているときは、その波の抵抗で前に進めないので、波のルートから外れているルートを選んでポイントまで行く。

僕がポイントに着くと、予想通り波がなくなっていた。

しばらく待とう。
日焼けした背中にじりじりと太陽の光が差し込んでくる。

波を待つあいだ、ヒマなので、ゆっくりとキックして動いていた。
ふと、ボディーボードに乗っているカラダの位置が、ハワイに到着して海に入った時のカラダの位置と違うことに気がついた。
何回かボディーボードに乗っているうちに慣れてきて、ボードの重心というかバランスのよい場所で乗られるようになったのだろう。
だから毎回、ハワイに来たときのライディングと帰国間際のライディングに大きく差がでるのか。

「ざわっ」としたと思ったら、いちばん沖に出ているサーファーのところに波が来ていた。
海面が「ぐぐっ」と上がり、その頂点からサーファーが滑るようにおりてくる。
低い位置に来たと思ったら、くるっと向きを変えて頂点に上っていく。
そして、左右にボードを振りながら浜の方に滑っていった。

「The サーフィン」って感じ。(これ、意味わかんないし。笑)

波はどんどん来た。
僕のところへも。
キックを開始する。
波の状態を見るとベストな位置にいたとはいえない。
崩れた後に僕のところへ到着する感じだ。

「ふわっ」と持ち上がったと思ったら、崩れた波が僕を押した。
それと同時にボードが「がががっ」と上下に激しく振られた。
パワーがすごいので、振り落とされてしまいそうだ。
なんとかボードにしがみついて離さないようにがんばる。
横を見ると、崩れていない波が見えたので、その方向に体重をかけて曲がっていく。
崩れていない波の上をすべるように乗ることができた。
スーっとすべっていくのだ。

波の勢いが少なくなってきた。
波からおりた。

その後、いくつかの波に乗った。

浜に上がりシャワーを浴びよう。
歩いていると、脚から血がにじんでいるのが見える。
リーフをキックしてしまった時に切ってしまったらしい。

シャワーの水でしっかりと傷口を洗う。
ここできちんと洗わないと、化膿してしまうのだ。
海にはたくさんのバクテリア(細菌)がいるからである。


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部屋に戻ると、ムスメが起きていた。
ジュースを飲んだりポテトチップを食べたり(朝から?笑)、昨日の残りのプレートランチをつまんだりしていた。

窓の外を見ると、ゆっくりと飛行機が飛んでるのが見える。
機体のペイントからJALだとわかる。

「あの飛行機JALだよね。おそらくWATさんが乗っている便だと思う」と妻に言う。
「時間、ちょっと遅くない?」と妻。

フライトの時間は8:30、今は9:10。
でもなんとなくあのJALだと思った。


「プールへ行く!」と、ムスメが叫ぶように言った。
「じゃいくか!」ということで、3人でプールへ向かった。

プールに入っても今日は太陽が出ているので、昨日ほどは寒くない。
ムスメは僕の背中の上に乗りたいという。
僕はムスメを背中に乗せて、あちらこちらとプールのなかを動きまわった。

そのうち、ムスメは自分で泳ぎたくなったのか、僕の背中からおりた。
そしてムスメは僕の腕をつかんだ。

ムスメの水着はラッシュガードの生地でできていて、胸と背中の部分に浮く素材が埋め込まれている。
ムスメが勇気を出せば、その水着のチカラで浮くことができる。
ムスメのお腹部分を持っているのだけれど、ためしに手を離すと言って本当に離してみた。

水が、顔の口部分まで来た。
しっかりと口を閉じてるのだが、そのうちちょっと開いて水が入り、「ブッ」と口から水を出した。

「浮いたね。」と僕が言うと、うれしかったようで、「もう一回!」という。

もう一度、カラダから手を離す。
ムスメだけでプールの水の中で浮いている。

ムスメは20秒くらいしたあと、その状態が怖いのか不安なのかわからないが、脚をバタバタし始めた。
バタバタすると、その動きでカラダが少し沈んだ。

そして、口の中に水が入った。

「ブブブブッ」と口から水を出す。
おぼれそう。(笑)

手を差し出して、浮かせる。
顔に水がついたのがイヤらしくて、「タオルでかおをふく」という。
プールにいれば顔が濡れるのは当たり前だけれど、ムスメはイヤだそうだ。(笑)

そんなことをしばらく続けた。
浮いて、顔を拭いて、浮いて、顔を拭いて。


そろそろ、次の行動に移そう。
しかし、ムスメはプールから出るのを嫌がった。

仕方ないので、「ママのお買い物が終わったら、またプールに入っていいよ」と言った。
最初はこのままプールに入るといっていたが、なんとか説得に応じてプールから出た。

部屋に戻り着替え、外出の準備をする。
準備をするといっても、お金とかクーラーボックスに氷を入れるなどだ。

クルマに乗り、パーキングのおばちゃんに挨拶をして、フリーウェイからLikeLikeに入りウィンワードに向かう。
目指すはロスドレスだ。(言わなくてもいままで読んでいる人は、確実にわかるでしょう。笑)

ウィンワードは、どんより曇っていた。
ここに来て晴れていたという経験は、記憶にない。
それくらい、いつもここの天気は良くない。


いまだに晴れた経験はなし!たぶん。


ロスドレスの隣の店はデニーズになっていた。
以前は個人経営のお店だったと思う。
どんな理由かしらないけれど、閉店してしまったようだ。


日本のデニーズとは違うレストランみたいですね。


日本のデニーズは、まだライセンス料を払っているのかな?(調べたら、契約は解消していて、ブランド名を譲り受けたそうです。)

このウィンワードのロスドレスは、僕らにとって重要な店である。
掘り出し物を見つけることが多く、帰国後に「この品物いいよね」と話題にする商品は、ここで買ったモノが多い。

しばらくすると、カートに商品がたくさん入っていた。
やはりこの店は買いたいと思う商品が多い。

おなかがすいたので、チェックしてきたお店に行くことにした。
Dean's Drive-Inn である。
ここは、2008 'ILIMA AWARD WINNER になった店だ。


見た目ちょっと怪しい?


この地域(ウィンワード)でなにかを食べようにも、マックやケンタなどのファストフードや今回見たデニーズのようなチェーン店になってしまう。
せっかくなので、ハワイならではのプレートランチの店に行きたい。

Dean's Drive-Inはウィンワードの近くにあり、車ならスグ(もっともここにクルマ以外で来る人はいないと思う)だ。
外見は特に印象なところはなく、2008 'ILIMA AWARD WINNERになったと知らなければ入らないような店である。

店に入ると、愛想のよいおばさんが座っていた。
レジスターの置いてあるところに注文の仕方が書いてあった。(英語です)
・メニューを決める。
・スープかサラダを選ぶ
・ライスの色(ブラウンかホワイトか)を選ぶ
ということである。

僕は、チキンカツと魚のソテー(本日のスペシャル)を注文し、スープとサラダを1品つづ、そしてホワイトライスを選んだ。
ドリンクも頼んだ。
チキンカツ以外の本日のスペシャルを頼もうかと思ったが、ムスメが「チキンカツ!」と言いそうなので、チキンカツを頼んだ。
僕が先にお店に入って注文していたのだが、ムスメがお店に入ってきた第一声が「チキンカツ頼んでくれた?」だった。
危なかった。
違うものを頼んだら、めんどうなことになっていた。(ただうるさいだけです。笑)

まず、サラダとスープが来た。
スープはビーフシチューだ。


多そうに見えますが、ちいさいボウルです。


オーソドックスなビーフシチューで、たくさんの野菜がぼこぼこ入っていた。
味は、家庭的なマイルドな味付けだが、しっかりとした味も感じる。
おいしい。
ムスメは気に入ったようで、ひとりで独占して食べていた。


盛り付けの色がハワイっぽい?


サラダはいたって普通の味である。
もちろんおいしいのだけれど。
ドレッシングはなんと表現してよいかわからない。

ここは、スープを頼んだほうが、お得感があると思う。

チキンカツは、上品にそして深く揚げられている。
ムスメはばくばくと食べていた。


ソースは日本風。ケチャップが入っていないタイプのものです。


魚のソテーは、バターをベースとしたソースがかかっている。
このソースの塩加減がよくて、新鮮な魚の味を生かしている。
淡白な味の白身の魚なので、自己主張の強いソースを使ってしまうとソースの味しかしなくなってしまう。
ここのソースは、その点に注意しているのか、薄味になっている。
もし、味が薄いと思ったら、しょうゆをつけるとよい。
バターとしょうゆのハーモニーは日本人にとってなじみのあるうまみのあるソースとなる。


マメの塩味がソースを引き立ててました。


量はハワイアンスタイルではない。
むしろジャパニーズスタイルである。(少なめということです)


ニコスピア38によってから、ホテルに帰る。
遅めのランチを食べたばかりなのにニコスピア38に行く。
それは夕食を仕入れておくためである。
ニコスピア38の料理を持ち帰ると、ホテルに着くと冷めてしまう。
それならいつ料理を購入しても同じなのだ。
これからホテルに帰って2回目のプールに入るのだが、その後に夕食を購入しに行くのは面倒だし時間のムダだからだ。


火曜日限定のピザ。


ホテルに戻り、プールへ行く。
陽が傾いているので、寒い。
僕は、なんどもジャグジーで温まった。

このジャグジーがなかったら、修行のようなプールである。(笑)
ムスメも寒かったようで、さほど長い時間はプールに入っていなかった。


今日はプレートを3つ購入した。

メニューを訳した時に気になってたHosin BBQ Chickenとビーフシチューのコンボ、チキンカツとロコモコのコンボ、Catch of the Dayの3つだ。
どれもおいしい。
ただ、妻は、3つのプレートではなく、やはり1品はサラダがいいという。
たしかに、夫婦2人と4歳児の3名で3つのプレートは多い。
2つのプレートと1つのサラダがちょうど良いしバランスがいい。


Hosin BBQ Chickenは、特製バーベキューソースがおいしい。


ムスメはやはりこれ。チキンカツ。


イタリアンっぽいソースでした。


僕はパソコンで写真の保存やインターネットに接続したりしていた。
妻は買い物したものを確認していた。
ムスメはデジカメであらゆるものを撮影しまくっていた。


僕らにはない視点で、おもしろい写真を撮ります。


それぞれのハワイの夜。(といってもハワイらしくないです。笑)


やはり、ビールを飲みながら。食前酒はビール、食後酒もビール。(笑)


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